今回は、企業で動画を活用したい経営者の方、またはマーケティングや広報担当者の方に向けて、映像をつくる側のクリエイターの目線から、動画制作の一番の柱となる「映像制作の課題と目的」の考え方について、ケーススタディをしながら具体的に掘り下げていきます。この記事と同じ内容は以下の動画でも解説しています。
自己紹介・概要
改めまして、映像クリエイターの松浦です。
僕は企業のブランディング映像や企業紹介動画などを個人で制作しています。
企業のなかで映像を活用したい方は多いと思いますが、
映像制作を依頼するにしても、正直、何を準備すればよいかわかりにくいですよね。
以前紹介した映像制作のワークフローでは、ヒアリングをもとに企画や演出を行うという説明をしました。
言い換えれば、ヒアリングでのコミュニケーションがうまくいけば、その後の制作をスムーズに進められますし、制作する映像の品質もあがります。
そして、僕がヒアリングで必ず質問させていただいているのは
「そもそも映像を制作するにあたっての課題と目的は何なのか」ということです。
そこで今回は、映像制作の根幹となる「制作の課題と目的の定め方」について解説していきます。
具体的な項目としては、以下の内容になります。
①課題を分解して考える
②分解した課題を掘り下げる
③大元の課題と制作の目的を設定する
④実際の事例を紹介
⑤まとめ
ヒアリングの前段階から、どういったことを準備しておくと良いのかを知っておくことで、映像制作の準備等に役立てていただければと思います。クリエイターの方にも参考になる内容になっているのでぜひご覧ください。
では、解説していきます。
課題を分解して考える
まず始めに、映像制作の目的を定めるにあたって、そもそも改善したい課題は何なのかを明確にしておく必要があります。
これは企業で映像を活用する場合、映像の制作は手段であって、目的は何かしらの「課題を改善すること」だからです。
では、課題を改善するといっても、どのようにアプローチしたら良いのか。
僕の場合は、ヒアリングのなかで課題を分解して考えていくようにしています。
そこで今回は「入学希望者を増やしたい」という要望のある架空の学校を想定し、ケーススタディをしていきます。ちなみにこの架空の学校は、僕自身がこれまでに実際に経験した事例をいくつも組み合わせたものなので参考になると思います。
ではまず、学校から「入学希望者を増やしたい」という要望があった場合、単純に学校の入学希望者を募集する動画をつくれば良いのでしょうか?
学校の様子を撮影して、入学希望者募集中というテロップをつければ、
何となくいい感じの動画はつくれそうですが、これだけでは、曖昧な内容になってしまいそうです。
課題をさらに分解
そこで、課題をさらに分解していきます。「学校の入学希望者を増やしたい」としても、学生さんが実際に入学するまでにはいくつもの段階があります。例えば、以下のような流れです。
直接の口コミやインターネット上の情報から学校のことを知る
↓
学校の説明会や見学会に参加
↓
受験を申し込む
↓
受験をして合格する
この場合、以下のようないろいろな課題が考えられます。
・そもそもその学校は学生さんに認知されているのか
・認知されたうえで学校の説明会や見学会に参加する人が少ないのか
・説明会などに参加したとしても受験を申し込む割合が少ないのか
このように、課題を分解することで、やるべきことがより明確になってきます。
分解した課題を掘り下げる
次に、分解した課題をさらに掘り下げていきます。
クライアントさんの抱えている課題は、制作者側だけで判断することができません。
よって、僕の場合は経営者の方や、担当者の方と対話をしながら、課題をひもといていくようにしています。
先ほどの架空の学校の事例では仮に、学校は十分に認知されていて、学校の説明会に参加する人も多いものの、受験を申し込む人が少ないという状況を想定します。
つまり、説明会に参加したあと、受験までの間に離脱をしてしまい、受験に申し込む割合が低いという状況です。
この説明かの後の離脱に関しては、例えばさらに以下のような課題が考えられます。
・説明会で学校の魅力を十分に伝えられていない
・学生さんと学校との間にイメージや情報のミスマッチが起こっている
・学生さんが入学した後や卒業後の未来像を想像できない など
映像で改善できる課題とできない課題
ここまで考えてみると、課題と言っても、映像制作によって改善できる課題と、できない課題とがあることがわかります。
例えば、説明会で魅力を伝えたいのであれば、そもそも伝えていきたい魅力とは何なのか、伝える側の間で明確に共有しておく必要があります。
場合によっては、組織のなかでビジョンが共有できていないことが、そもそもの課題なのかもしれません。このような組織や仕組み自体の抱えている課題は、映像を制作するだけでは改善することができないため、別のアプローチが必要です。
これは個人的な意見ですが、まだ課題が明確になっていない段階では、映像を制作するという手段を先に決定してしまわない方が良いと思います。
課題を明確にして、その改善策が映像制作にしっかりとひもづくようであれば、そこから映像の制作を検討することがおすすめです。
大元の課題と映像制作の目的を設定する
では次に、分解した課題のなかでも、さらに大元の課題となるものは何なのかを考えていきます。
今回の事例では、「説明会で学校の魅力を十分に伝えられていないこと」が大元の課題だと仮定します。
実際に、説明会に学生さんが参加したとしても、伝える内容にばらつきが出たり、
たとえ情報が伝わったとしても心は動かなかったりすることは実際にあると思います。
つまり、学生さんに対して、情報や熱量が十分に伝わっていないということです。
そして、もしこういった課題を抱えているのであれば、映像を活用することで、その課題を改善することができそうです。
よって、クライアントさんはこの段階で、学校の魅力を伝える一つの手段として、映像の制作を検討し、その目的を「説明会で学校の魅力を明確に伝えること」に設定する、という流れになります。
元々の「入学希望者を増やしたい」という要望に対して、課題を深掘りせずに、入学希望者を募集する映像をつくろうという発想に比べると、課題や目標がより具体的になったことがわかると思います。
また、ここでのポイントは、大元の課題や制作の目的を、一言で説明できるように言語化しておくということです。
課題や目的を、できるだけシンプルな言葉で言語化しておくことで、クライアントさんと制作者の双方が課題や目的を見失わずに制作を進めることができますし、制作の結果得られた成果も評価しやすくなります。
以上が、大元の課題と目的の設定についての解説です。
実際の事例の紹介
採用の事例
これは余談ですが、僕が実際に制作させていただいた企業紹介動画や採用動画を企業説明会で活用し、実際に入社まで結びついたという実績の声もいただいています。
例えば、あるクライアントさんは、新卒採用の企業説明会で、理念や事業内容等の説明に時間がかかっていたところ、映像を活用したことで説明の時間を大幅に短縮することができ、その分、交流の時間が増えたとのことです。
結果的に、より入社希望者の方との関係性が深まり、採用に結びつく人数が増えたとお聞きました。
営業の事例
また、そのほかには、企業紹介動画を営業先での営業ツールとして活用することで、企業の理念や事業内容などを短時間でもれなく伝えることができ、営業がより円滑に行えるようになったという事例もあります。
このように、制作した映像は伝える側にとって補助的な役割としても活用することができます。
まとめ
最後にポイントをまとめます。
①映像を活用することを決定する前に、改善したい大元の課題が何なのかを明確にしておく
②大元の課題が明確になり、その改善策が映像制作にひもづくようであれば、そこから映像の制作を検討することがおすすめ
③映像の制作を決定したら、大元の課題に対して、制作の目的を明確に定める
以上が今回のポイントになります。
ちなみに、目的が定まったあとは、誰に、どのように映像を届けていくかといった内容もさらに検討していきます。そして、そのヒアリングの内容をもとに、企画や演出に落とし込みます。
僕の場合、クライアントさんと二人三脚で映像をつくり上げていく過程で、こちらのノウハウを共有したり、僕自身もクライアントさんから学んだりするようにしています。単に映像を制作するよりも、お互いの成長につながったほうが価値的ですよね。一緒に楽しく仕事したい方、共に成長していきたい方、ぜひご連絡ください。
▽ Zoomでの質問・相談
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質問や相談のある方に向けてZoomで無料相談をおこなっています。
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sizukufilms@gmail.com
▽ Profile
映像クリエイター Filmmaker / Director
松浦竜介 Ryosuke Matsuura
ドキュメンタリータッチの撮影手法や美しい画づくりが得意です。
主に企業のブランディング映像や紹介映像などを制作。
以上、今回は映像制作における課題の発見と制作の目的の設定についての考え方について解説をしてきました。最後までご覧いただきありがとうございました。
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